なおも続く沈黙に、もう羞恥心で心が押し潰されそうになったとき。
「……しょうがないな」
「……へっ?」
そんな呟きと同時に、山田くんの手が、あたしが親方を包む手に触れて。
瞬間、ドクッと跳ね上がる心臓。
そのまま、山田くんの指があたしの指に絡まるように重なる。
なんだか山田くんの顔も体温も近くて、自分から言っておきながら全く心の準備が出来ていなかったことを知る。
鳴り響く鼓動に全身の血が駆け巡る。
体中が紅潮して、そっと近づく山田くんの瞳に促されるように目を瞑ったとき。
「や、……っ?」
「……よしよし」
…………。
…………。
……、へっ?
キスされると思って、少し上を向いて目を瞑ったあたしなんて完全スルーで。
当の山田くんは、素知らぬ顔で親方を撫でていた。
ええ、そう。なぜか親方を撫でていたのだ。
……何故。
「や、山田くん……?」
「ん?」
いや、ん?じゃないよ、ん?じゃ。
準備万端で山田くんからのキスを期待していたあたしに、いったいなんの仕打ちですか……っ!
恥ずかしいよ!めちゃめちゃ恥ずかしいよ!
すっかりキスだと思ってたよ!これ以上あたしを羞恥の穴に落とさないでくれ!!


