俺と要の様子を見て笑っていた三橋が、ふとつぶやく。
「……美喜なんてワガママお姫様だよ」
「いや、ワガママの前にお姫様って言えるお前がスゲー」
すかさず松川がみんなの心を代弁する。
うん、まさにそれ。
やっぱりこの辺は、天然タラシの三橋だからこそだな。
「ま、彼女のワガママはカワイイもんだけどな」
要がそう言うということは、スミレ先輩もなかなかワガママなのだろうか。
想像つかないな……。
と、そんな要の隣で、松川はふて腐れたようにボヤく。
「……六花ちゃんは、逆に全然ワガママ言ってくんねー」
「……そうなの?」
「うん。そりゃ、まぁ……向こうは友達だと思ってるんだし、しょうがないとは思うけどさ」
「…………」
「……けど、もうちょっと砕けてくれていいんだけどな。心の距離が縮まらねぇーっ!」
うわぁーっ!と、嘆くようにテーブルに顔を伏せてしまった松川。
……俺と重なるところがあるからか、すごくその気持ちがわかる。
悪いのは相手ではなくて自分だってわかってるのに、なにもできないから余計に腹立たしくて。
そこまで原因がハッキリしてるのに……いざってなると、どうしてもたじろいじゃうんだよね……。


