「……確かに、受験生である私ばっかり見る要くんは、すごく悲しかった」
無理に感情を形にしようとしても意味がない。
私は浮かんでくる思いを、そのまま言葉にしていく。
「たまに学校で会えても、休み時間はまだまだあるのにすくにどっか行っちゃうし。
抱き締めてだってくれないし。
友達とは一緒に帰るのに、私とは帰ってくれないし」
わかってる。それは、私が受験生だからだって。
一度気を緩めてしまったら、再び元の強さに戻すには何日もかかる。
ほんのちょっとが受験生にとっての命取りだってわかってる。
だから、要くんは私から距離を置いていたんだ。
わかってるけど。わかってたけど。
やっぱり、無性に寂しくなるときは、ある。
「……でも、私だって本当の要くんを見れてなかった。
偉そうなことばかり言ってるけど、私の方こそ謝らなきゃいけなくて……。
ごめんなさい、要くんの優しさに甘えてばかりで。
自分のことは棚に上げて、あなたの気持ちを汲み取ろうともしないで。
酷いこと言って、本当にごめんなさい。
……大嫌いなんて、これっぽっちも思ってないわっ……」


