しばしの沈黙のあと、やっと要くんが口を開いた。
「……俺、先輩の気持ち全然わかってなかったです」
「……え?」
突然なんだい?
私の決死の告白をスルーし、要くんは藪から棒に話し出す。
反射的に顔を上げて要くんを見たが、伏し目がちでよく表情が読み取れない。
ひとまず、要くんの話に耳を傾けることにした。
「俺、伊吹先輩が受験生だってことにとらわれすぎてました。
最初は、純粋に先輩の応援をしたかったんです。けどいつの間にか、いらない所にまで気を回すようになって。
気付いたら、先輩を“受験生”っていうくくりで縛り付けてました」
「――……」
「……さっき、『受験生受験生ってうるさいのよ』って先輩に言われたとき、ガツンて頭殴られた気分でした。
確かに俺、最近、先輩に“受験生”ってばっかり言ってたなって。
先輩の体調の心配じゃなくて、“受験生なんだから体調崩したら大変だ”って、すぐに思考はそっちに行って。他にも色々、受験を軸に考えすぎてました。
一番は先輩なのに、俺が見てたのは“受験生の伊吹先輩”でした」
『本当にすみませんでした』と、深々と頭を下げた要くん。
私はなんと返したらいいかわからなくて、言葉に詰まる。


