「……もう逃げないように」
「へっ……」
そう言って、まるで私の存在を確かめるかのように、私の腕を掴む手に力が入る。
そして、すうっ……と目を閉じて、安堵したように息を吐いた。
……もしかして、私が要くんと別れてから、ずっと心配して探してくれていたのだろうか。
でなきゃ、こんなに汗を掻いて疲れているはずがない。
きっと、一生懸命走って探してくれていたんだ。
ぎゅぅぅぅっと心臓が収縮する。
本能のまま。
心が赴くまま。
思いきり、要くんに抱き付いた。
でも要くんは横になっている訳で、上手く背中に腕を回せないのが不服だけど。
要くんの胸に頬を寄せる。
愛おしくてどうしようもない。
「……伊吹先輩、俺今汗臭いと思われ」
「いいの。無性にしたいの」
「……ふっ。可愛いこと言ってくれますね」
そっと頭を撫でてくれる要くんの手。
久々に感じた体温に涙が出そうだ。


