「では第一問。彼女と帰る帰り道、彼女は聖との間に少し距離を取って歩いています。そんなとき、お前はどうする?」
「……え、どうって……」
柚希との帰り道、いつもそうなんだけど。
あの人は必ず、俺との間に30センチほどの距離を空ける。
俺と帰るのを嫌がってるのかと思えば、俺の方をチラチラと見ては、目が合うと顔真っ赤にして逸らしたりして。
気になってはいたけど、わざわざ理由を聞こうとも思わなかった。
だから、この場合。
「……なにもしない」
「あーっ!ダメ!不正解!」
要が大声を上げるから少しビクッとしてしまった。
隣で三橋が苦笑いを浮かべる。
斜め前の松川は、頬杖をついて俺を見ながら口を開く。
「山田、そういうときは手握って自分の方に引き寄せないと」
「……え、そうなの?」
「少なくとも俺ならそうする。だってそんなん、カワイらしい彼女のアピールじゃんかよ」
「……え……」
アピール?
「手繋ぎたいけど言えない。とか、本当はもっとくっついて歩きたいけど、迷惑かもしれないしできない。とかさ。立本なら理由はその辺だろ」
「――…………」


