『……、……え?』
さらりと発せられた一言。
まるで、好きな食べ物なに?と聞かれて、ハンバーグ!と答えるように、あっさりと。なんてことないように。
いつも通りのトーンで、世間話みたいに淡々と。
目の前の彼女は、先程となんら変わりない笑顔で俺に微笑みかける。
それが、余計に俺を混乱させた。
『……えっ、と』
ちょっと待て。これはどういう話の流れなんだ?
ドッキリ?いや、六花ちゃんに限ってそんな訳ないだろ!
脳内でひとり討論会を始める俺。
簡単に言えば、激しく動揺しているのだ。
だって、まさか。六花ちゃんが俺を好きだったなんて思いもしないし。
そもそも六花ちゃんは、俺が立本のことを好きって知っているし。
なのにどうして、俺なんだ?
――どうして、告白してきたんだ?
“何もしないのと、前に進もうと足踏みをしている。どっちの方が、楽しいのかな”


