「……六花ちゃん」
「はっ、はひっ!?」
余程緊張しているのか、“はい”を噛んでしまった六花ちゃん。
力んで上がった肩は微かに震えてて。
真っ赤な顔で俺を見上げる姿に、なんか、無性に愛しさが込み上げてきた。
「……今の、話なんだけど」
「うっ、うん。うん」
「……ほんとだからね?」
――キューーーーーーーーーーーーンッッッ。
……六花ちゃんの顔を覗き込みながらそう伝えると、六花ちゃんの胸からそんな音が聞こえた気がした。
だって、これで信じてもらえなかったら。もし、冗談だと思われてたら。
俺、ヘコむ。うん絶対。
ボッ!と火を吹く勢いで紅潮した六花ちゃんの頬。むしろ、顔全体が真っ赤っかだ。
目をこれでもかってなくらいに潤ませ、両眉を八の字に下げ、どうしたらいいかわからないって顔をしている六花ちゃんが、心の底から可愛くて。
つい、笑みが零れる。
「六花ちゃん、耳まで真っ赤」
「えっ!?あ、う、だって……っ」
じわり、そう言いながら、また一段と帯びた涙の膜。
六花ちゃんの表情が、小さく歪む。
「だって……っ」
ぽろっ、と、六花ちゃんの目から一粒の涙が零れる。
「だっ……、っ。……うぇっ……」
ぽろぽろぽろ、落ちる雫は、止まらなくて。
ぎゅっと目を瞑って堪えようとしているのに、やっぱり溢れてきて。
……その涙の分だけ、俺は六花ちゃんを待たせてしまっていたんだろう。


