「……てことで悪いけど、今はふたりきりにしてくんね?」
「お、おぉ。わかった」
友達はヘタレな俺が人前で手を繋ぐなんていう大胆な行動をしたからか、多少驚きつつも、空気を読んで頷いてくれた。
そして、去り際。
「……もしかして、その子松川の彼女?」
なんていうプライバシー完全無視の唐突な質問を、六花ちゃんを指差して繰り出してきた。
コイツ、8割興味本意だろ。
そんなあくまで8割興味本意の質問に、六花ちゃんは顔を真っ赤にして答える。
「いっ、いえ、わたしはそんな、彼女とかじゃ……っ!」
「これから彼女になって欲しい子だよ」
――ピタッ。
俺の一言に、六花ちゃんと目の前の友達が、ふたり同時に固まった。
まるで一瞬にして石像になったみたいだ。
……けど、もう今の俺に、恥なんてものは欠片も無かった。
「という訳だから、早くふたりきりにして」
「……りょ、りょうかい、した」
友達は最後まで呆然とした様子で、口をぽかんと開けながらその場を後にした。
公園に残った、俺と六花ちゃん。
ふたりの間には、呼吸の音さえも聞こえてしまうんじゃないかと思うほどの静寂の空間が流れる。


