所々ペンキの剥がれたベンチに座り、ボーッと公園内を見つめる。
静かな時間。
街から道をひとつ跨げば、ここまで静かなのかと染々驚く。
本当は、こんなこと考えてるヒマ無いんだけどな。
早く六花ちゃんから事情を聞かなきゃいけないのに。
きっかけ、が、無い。
どうしようか……と、思考を巡らせていたとき、隣から小さくくしゃみが聞こえた。
「くしゅんっ」
「……え、あ。……寒い?」
って、今さら過ぎる。今さら過ぎるだろ俺!!
今12月だよ冬だよ寒くない訳ねぇよ!!
自分の馬鹿さ加減に絶賛反省会中の俺の質問に、六花ちゃんはやっと柔く微笑んで首を振った。
「ううん、大丈夫だよ」
「……ほんとに?」
「うんっ。それに、ほら、え……っと」
「……?」
言いにくそうに口ごもり、俺から視線を外す六花ちゃんに首を傾げる。
心なしか、先程より赤くなったような六花ちゃんの頬をぼんやり見つめていると、六花ちゃんの口がゆっくり動く。


