「では、お代は結構ですので、ぜひお召し上がりください」 失礼いたします、と軽くお辞儀をして、いまだにまぬけ面で突っ立っている翼の腕を引っ張ってその場を後にした。 時計を見るとちょうど私と翼のあがりの時間だったので、そのままスタッフルームへ向かう。 中ではさらに女子更衣室と男子更衣室にわかれているこの部屋。 翼の手を離し女子更衣室の戸を開けようとしたとき、やっと翼が口を開いた。 「……美喜」 「なに?」 「ありがと」 ……キュン。 翼特有の八重歯。 それが覗く笑顔に、私はとても弱い。