一線を越えたって言葉より、抱き合って寝ていたという言葉に目を見開く。
だ、抱き合って寝てたって。ほ、本当に!?
「ふたりで仲良さそうに手繋いじゃってさ。聖なんて柚希ちゃんに腕枕してたんだよ?気づかなかった?」
「ええぇっっ!?」
ううう腕枕!?えぇっ!?
信じられなくて何度も瞬きしてしまう。
本当に腕枕してもらえていたなら、そんなに幸せな寝方はないよ!!
しかも、抱き合ってなんて……!
だからさっき、起きたときあんなに顔が近かったんだ……。
話を聞いただけでも興奮して鼻血が出そうなシチュエーションで、あたしは寝ていたというのに。
なにひとつ覚えていないこの言い表せないほどの切なさ。
はぁ。あたし、なんてもったいないことしたんだろう……。
寝落ちしてしまった数時間前の自分を叩き起こしたい。
お兄さんはあからさまに落ち込むあたしを見て爽やかに笑うと、まだ眠っている山田くんに視線を移す。
「悪いんだけど、聖起こしてあげてくれる?俺朝食作るから」
「あ、はい!……え。お兄さん料理できるんですか!?」
「簡単なのだけどね」
そう言って笑うと、お兄さんはキッチンへ向かった。


