【side柚希】
「……ちゃーん、ゆーずーきーちゃーん」
「……?」
瞼に眩しい光を感じる。
まだ眠気が勝ち気味な頭をなんとか気合いで起こし、ゆっくりと目を開ける。
と、一番に目に飛び込んできた、……山田くんの寝顔。
うわっ……ちょーカワイイ……じゃなくてっ!
「……山田くっ、!?」
「シーッ!柚希ちゃん、聖が起きちゃうよ」
山田くんの寝顔が近距離にあると認識した瞬間、反射的に飛び起きた。
び、ビックリした……!山田くんの顔が、あ、ああ、あんなに近くに……っ!
あと少しでキスができそうなくらいの距離だった。
心臓がバクバクと音を鳴らす中、先ほどからあたしの名前を呼んでいたと思われる人物を見る。
「おっ、おおお兄さんお帰りなさい!」
そこにはソファーに座って、ニッコリ笑顔を浮かべるお兄さんがいた。
いつのまに帰って来ていたんだろう。というか、いつのまに朝になっていたんですか!?
「ははっ。ただいま。今、朝の6時半過ぎなんだけど、とりあえず聞いてもいいかな?」
「は、はい?」
「どうして床で寝てるの?」
へっ?
お兄さんがニッコリ笑顔を保ったまま、山田くんとあたしのいる位置を指差して尋ねた。
下を見れば、確かに。ふわふわとした生地のカーペットが敷いてあるとはいえ、ここは一応リビングの床。
そこに、あたしたちは寝ていたようだ。
……そういえばあたし、マリアちゃんにマフラーをかけてあげてからの記憶が無い。
というか、そのソファーで寝ていたはずのマリアちゃんはいったいどこに消えたのですかお兄様!?


