沈黙が流れる。柚希はなにも言わず、ただじっと俺の返答を待っている。
……ちょっと待った。
今、柚希は酔ってて。これは柚希の本心じゃなくて、ボーッとした頭でなんとなくしている行動かもしれなくて。
だから、たぶん、いや、きっと。本人の意思じゃない。……そう思いたいのに。
……例え酔っていたとしても、柚希が“なんとなく”で、こんなことする人じゃないってわかってるから。
だから……余計に、戸惑う。
本当にいいの?って。
正直、抱くことは簡単。
好きな子に触りたくない訳がないし。
でも、今ここに、“いつもの柚希”はいる?なんて、自分自身でもよくわからない疑問が浮かんできて。
つまりは、俺は意気地無しで。
いつもの柚希に言われたら、抱けるけど。
今の柚希に言われたら、抱けない。
酔った勢いだけでどうこうするのは違う気がする……って、ことなのかな。
自分の気持ちなのに、ありきたりな上に疑問系になってしまう情けなさ。
柚希にも申し訳なくなる。
結局、一番バカなのは俺で。
一番臆病なのも俺で。
柚希の勇気を、踏みにじろうとしてるのも俺で。
抱いちゃえばいいのに、どうしても出来ない。
もしも柚希が覚えていたら、土下座して謝ろう。
そんなことで、許してもらえるなんて思えないけど。
もしも今要がいたなら、『女の子の誘いを断んな!』って、憤怒されるんだろう。


