口内に広がるアルコールの薫り。
その味覚はわずかに感じるだけだけど、兄貴と父親が毎日飲んでるんだ。自然とその匂いなんて覚えてしまう。
……まさか?
半信半疑のまま、いまだに顔から熱が引かない柚希を見つめる。
俺の視線に気づいた柚希は、“?”と不思議そうに小首を傾げた。
今までの柚希の言動、行動、態度、言葉、表情。
どれを取っても、まさに“酔っぱらい”だった。
「……柚希、まさかお酒飲んだの?」
「ふえ?飲んでないよお~っ、山田くん変だなぁ~っ!」
ケラケラと笑う柚希の目が笑ってない。
確定。この人お酒飲んだね。
さっきから今まで、柚希の可笑しな行為は、全て酔っていたからだったのか。
冷静に考えてみれば、柚希がこれほどまでに素直に甘えるなんてあり得ない。
きっと、酔ったことが引き金となって、溜めていたものが一気に爆発したんだろう。
……どちらにせよ、柚希の本心であることには変わりないけど。
なんか本当に、この人は色々な意味でどこまでもミラクルを起こしてくれるよね。


