「ぅわっ…」



電車が停車したとき、微妙に変な揺れ方をして、湊くんの腕を不意に掴んでしまった。



「ごめ…っ」


やば、恥ずかし…っ。

掴んだ手をパッと離した。



こんなことなら、ちゃんと手すり持っておけばよかった。



吊り革まで手は届かないから、あたしが頼れるのは手すりしかない。


ちびって、本当に色んなことが不利だ。



「つかまってなよ。フラフラして、他の男にでもぶつかったら俺無理」



ぬぅわっはぁぁあっっ!!!

ななななななにその…………嫉妬…?

ヤキモチ…は…。



湊くんを直視できないんですが…!

嬉しすぎて、頭ハゲそう…っ。



ジャケットの袖を肘と手首の中間くらいまで折っていて、

袖から出た腕は意外とがっしりしていた。



体型は細いのに……こういうところ、男っぽくてまたツボなんだよなぁ。



湊くんには、ずるいとギャップって言葉がピッタリだ。



「ぅん…っ、ありがとう…」