部屋の時計を確認すると、夜の8時半だった。
こんな時間から出かけるのは親に文句を言われるだろうし、きっと無理。
だけど、だけどっ!
会いたいから!
「大丈夫です」
『最寄り駅どこ?』
「神江駅なんですけど…遠くないですか?」
『全然。じゃあ、9時に改札前で大丈夫? 家知ってたら家まで行くんだけど…』
そう言う湊くんに、「あたしは大丈夫ですからっ!!」と言って電話を切った。
女の子をこの時間に最寄り駅まで来させることを、心配してくれたのかな…?
湊くん…優しすぎるよ。
だいたい、こんなあたしを襲う人とかいないと思うけどね…。


