「ぎゅー…」



次の日、階段下で会った湊くんは、やたらあたしにひっついてきた。



異常だった。



だって、『ぎゅーっ』って言葉に出しちゃうんだよ?!

擬音語だよ?!



「蘭もっと」

「もう無理だよ〜…」

「だめ。足んない」



この前、『蘭の抱きしめ方が好き』と言った湊くんは

今日もあたしに抱きしめろと要求してきた。



力いっぱいぎゅーってしてるつもりなんだけど…。


湊くんには足らないらしい。

でも、足らないってなにが……?



「蘭ちゃん」

「なに?」

「らーんちゃん」

「……なに」

「呼んでみただけ」

「小学生か」



可愛いから、許す。