「すいません、トイレ行ってきます」



蘭にたくさん我慢させたのに。

それなのに結果を残せないなんて。



はぁ……。



大きなため息をつきながら、事務所のトイレを借りる。



手を洗っていたら、

バタバタと外から誰かが走ってくる音がして。



いきなりトイレのドアが開いた。



「湊…っ、早く来い」



え、慶太さん…?

なにをそんな焦って…。


「どうしたんですか?」

「いいから早く来い!」



いつもきっちりセットされている髪が少しだけ乱れていて、

それだけでかなりの異常事態だとわかった。



慶太さんと急いでさっきの部屋に戻ると、社長からいきなり子機を渡される。



…?



「え?」

「いいから出ろ」