あまりにもびっくりしすぎて、きゃあ!みたいな声も出なかった。



ただ、何が起こったかを理解するのに励んだ。



目の前には湊くんがいる。

ちょっと経って、湊くんは少しかすれた声であたしを呼んだ。



「………、らん」

「なに…?」

「俺…頑張ったよね…?」



目を瞑ったまま、湊くんはあたしを静かに抱き寄せた。



湊くんは本当に頑張ったと思うよ。



本当に、そう思う。



「…うん。頑張ったよ。

あたしにはちゃんと伝わったから…」

「皆もわかってくれたかな」

「きっと大丈夫だよ…」



いつも湊くんがあたししてくれるような感じで

湊くんの頭にポンと手を置いた。



「…あいつらも来てた」

「絵麻ちゃん?」

「…ん。 びっくりしてたよ」



落ち着いた声で言う湊くん。

そのときの絵麻ちゃんの顔をみてどう思ったんだろう…。