「俺だって、普通の高校生だよ。少し特殊な仕事をしてるだけ。それに、芸能人みたいに、声優は報道されないし、叩かれたりしないよ、きっと」



少しはあるとは思うけど、そんなの気にしてたら永遠に結婚なんて出来ないね、と湊くんは笑った。



あたしは、この言葉に甘えてしまっていいのかな…。


そう考えているうちに、あたしの頬には涙が流れていた。



「あれ、ここ、泣くところなの?蘭ちゃんって泣くイメージ無かったんだけどな…」



あっ、やばい。

あたし、泣くつもりなかったのに…っ。

泣いたら、困らせるだけなのに。



止まれ、止まれ、止まれ…っ。



「泣かないで。ちゃんと言葉で聞きたいから…」



優しい声に、あたしはもう、堪えきれなかった。