「ねーっ、永瀬さんと久遠くんは付き合ってるの?」



遠くに座っていた湊くんにも聞こえるように、絵麻ちゃんはそう言った。



「えっ、なん…で」

「だってぇ、最近仲良さげじゃん?休み時間に結構話してるし。

それに、久遠くんにお菓子なんて渡すの、永瀬さんくらいじゃない?」



きゃはははっと甲高い声で笑われて、かぁあっと顔が赤くなった。



自分が湊くんにお菓子をあげたことについてじゃない。


いま自分が、クラスの中で笑ものにされてるのが、嫌だ。



絵麻ちゃんが笑うと、

クラスのみんなもクスクス笑だす声が聞こえて、余計に恥ずかしくなった。



「……お菓子をあげたのは、深い意味はないよ…」



教室で渡したの、見られてたんだ。