『くっはーっ!うらやましいっ!』
美菜子はそう言って、書きおわったお菓子の箱を手にとった。
「これもらった湊くん、どんな顔するんだろーねえ」
「さぁ……? 普通に笑うんじゃない?」
まあ、前髪が邪魔でそんな表情すら見えないと思うけどねー…。
「で、彼氏様はいつ来るの」
「えー…、遅刻としか聞いてないからわかんないなぁ」
「あっそう」
聞いておいてなんだその反応は、と思ったけど、あえて言うのはやめた。
結局湊くんが来たのは、昼休みだった。
昼ごはん中でかなりうるさい教室に、存在感もなく現れた。
一応ドアが開いた音で、振り向いたら湊くんが来たってわかったから
あたしは気づいたんだけど。
他のクラスメイトはやっぱり気づいていないようだった。
誰も今入ってきた湊くんが、テレビ出たり、雑誌に出てる人だなんて思ってないんだろうなぁ。


