「いやっ、待って……」

「ダーメ、待てない。十分待っただろ」

「だけど……そこは止めて」

「止めない」

「んもぉ……イジワルしないでよ」

「イジワルじゃない。良いだろ?
ほら、ここどう?」

「ああっ、そんなとこ攻めないで……」

「なに言ってんの?今度は俺が攻める番だろ?内心喜んでる癖に……大体、お前から誘ったんじゃん。久しぶりにシたいって」

「確かにいったけど……だって火星じゃまともな相手いないんだもの……どれだけ、保とシたかったか……」

「おお、素直なゆりにますます萌えるよ。
もう我慢出来ねぇ。一気にイクわ。とりゃっ」

「あぁっ、ぁぁあああ~~~。もう、ダメ……」













「これで俺の勝ち。見ろ、全部真っ黒だ」

そういいながら保はバーチャルオセロの
スイッチを切った。その途端、空中に映し出されていた画面が消えた。

「もう、保ってば、昔から勝負事には手をぬかないんだから……少しくらい負けてよね」

「なに言ってんの?お前、そういうの一番嫌いだろ?わざと負けたって怒るだけじゃん」

「確かにね。正義感だけは人一倍強いって言い切れる。だからねーーーー」

「ダメダメダメダメ、止めとけって」

「何よ。まだ何も言ってないじゃん」

「言わなくてもわかる。お前とは長い付き合いだからな。マジでこの国は変わっちまったんだよ。何もかも管理、管理、管理。ことば憲法だけじゃないんだぜ。肥満憲法に貯蓄憲法、あとは……初体験法案は今からかな?多分、可決だろうけど。」

「ちょ、ちょ、なに?肥満憲法?貯蓄に?は、は、初体験???」

「肥満憲法は国民の食生活が乱れてきたから、国が全国民の肥満度を管理することになったんだ。ほら、国民の寿命が短いとさ人口が極端に減って、国の経営がやばくなるじゃん?あと、貯蓄憲法で個人の資産を国がきちんと把握して管理することになった。要は運用資金づくりじゃね?それから初体験はーーー」

「も、も、もういいわ。何となくわかった。
とにかく、この国の国民は政府の管理下にあるということなのね。」

「だな。」

ゆりは大きくため息をつくと
保に出してもらったヨワインのロゼを口にした。ちなみにヨワインとはいくら飲んでも酔わないワインのこと。が、決してノンアルコールではない。あくまで酔わないというだけなのだ。