言葉を濁して話を逸らしたいらしい鳥羽さんが、與羽さんと旦那さんとの私生活について当たり障りのない会話を持ち出した。


私はと言えば、その会話をフィルター越しに眺めているような感じだ。




やがて與羽さんは撤収だということで、私服に着替えて帰っていった。


私もカメラチェックが終わったので、今日はもう帰ろうかと鳥羽さんを振り返って見た。


「……今日はもう上がりですよね?この後何か入ってますか?」


急な仕事が入っていないとも限らないから、確認のために鳥羽さんに聞いてみる。



夕暮れの茜色に染まるテーマパークは、人の帰巣本能ってやつを刺激するんだろうか。


それとも仕事で疲れたのか。


何にしても、仕事が終わりなら、早く帰ってゆっくり休みたいなんて考える私は、どんだけ若さが足りないんだ。


フツーの女子高生ならテーマパークで遊べるならオールしてでも遊び倒しそうなもんなのにね。