あのドレスのブランドが、せめて映画に少しでも投資か協力かしていてくれれば問題はないんだけど……。


そこんとこ、どうなんだろ?大人の事情はよく分からないや。




衣装の打ち合わせに行っていた鳥羽さんが、やがて控え室に戻ってきて苦笑した。



「今日のドレスの件、製作側が折れたから。桜小路公佳がゴリ押ししたのもあるけど、ブランドの方も一応映画に名前が上がってるブランドだったからな。スタイリストさん達は渋々だったけど……」


それだけ聞ければ充分じゃん!


友達とお揃いのドレスでレッドカーペットを歩けるなんて、想像するだけで楽しくなってくるし、緊張も少し和らいだよ!




「あ…と、試写会のサプライズゲストだけど、月島翔太が来るよ。例の学園ドラマの宣伝も兼ねて、って事らしい。製作は同じ局だからね」



うっそ。じゃあ4人みんな勢揃いじゃん。


初めての映画出演、しかも主役だから、実際観た人の感想や自分の演技の出来は気になるけど、それでも横に皆が居てくれれば、心強くはあるよね。



公佳ちゃんなんか、私に対してはダメ出しガンガン言って来そうだしね。



その公佳ちゃんの怒った顔が容易に予想できるから、つい、にへらと頬が弛んでしまった。