俺が高校の時にまだ彼女がいた頃は、ただ漠然と『自分の得意分野で一山当てればいいや』ぐらいにしか思っていなくて、開発したSNSもただの趣味程度にしかやっていなかった。





だが、咲絢が仕事で疲れてる姿を見たり虐められてる現実を目の当たりにしたらもう、いてもたってもいられなくて。




他の誰もが咲絢を守れないなら、俺は自分の力で咲絢を守ると決めて、この世界に飛び込んだ。





自分でもここまでトントン拍子に会社の経営が上手くいくとは思っていなかったが、それでもわずか数年でこの地位まで登り詰めることができた。






ようやく、女優の《如月咲絢》と付き合うのに相応しい肩書きを得た。






……好きな女の方が知名度も高くて稼いでるなんて格好つかないだろ。


もし将来結婚するとしても、惚れた女の金で食っていくなんて、そんな事は絶対にしたくない。




そう何度も自分に言い聞かせながら、咲絢を守ることだけを考えて……。