「……はあっ…はあっ…」


息を切らしながら、椿はもう島原を抜け出していた。

目からは自然と涙が出てくる。



「何なの…っ」



その涙の理由が、分からなかった。

何もかもが分からなかったのだ。

美和に対して、何でムカついたのか。

沖田に対しても。

何もかも…。

こんな気持ちなんて、味わった事がない。

沖田の事となると、変になる。


「──あっ」


ズシャッと、勢いよく地面に転倒する。

口を引き結び、目の前の地面を睨みつける。

自分の影が、普段より小さくて、酷く情けなく見えた。

ヒリヒリと膝が傷む。