「車?飛行機?新幹線で行くの?それとも、船?」
「いいえ。どれも違います。…これです」
…と言いながら次に翔太が取り出した物に、目を丸くする。
「は?これ…フラフープ…よね?」
「ええ、その通りです」
「こんなんで、どうやって移動するの?ていうか、出来るわけないでしょ!!!馬鹿じゃないの⁉」
「まあそう言わずに…。くぐってみて下さい」
「いや、無理でしょ…」
そう言いながら、くぐろうと試しに手をかける。
そこらへんのおもちゃ屋さんに売っているような、ピンクでしましまの普通のフラフープだ。
「絶対無理」って思ってたけど、足を一歩踏み出した瞬間…。
「お気を付け下さいませ、お嬢様」
という翔太の声を背に、私は意識を手放した。

