「あなたは、沖田総司という男に惹かれた。それは、何故?」
「そんなの…っ」
「結ばれる運命だったからですよ」
痛いくらい、目をこする。
時猫はさらに言葉を付け足した。
「あなたが仲間である事を、記憶にはないけど新選組は心の隅で理解していた。
あなたは沖田総司を二度好きになった。
沖田総司も、同じでした。
──貴方達は、二度、互いを想い合ったんです」
「……っ」
「あなたは平成で生きなければなりません。だから、幕末であなたと関わった全ての人から、あなたの記憶を消し、完全にその時代の人ではないことにしました。……ですが」
時猫は、そっと、椿の手の上に、自分の小さな手を乗せた。
「沖田総司からは、あなたの記憶は消せませんでした。
あの人は、あなたを忘れる事を拒んでいます。
戻ってくる事がなあなたを、ずっと待っています。それは、あなた達がどれだけ固い絆で結ばれているかを意味しています。
……違いますか?」