池田屋に、入った。

しかし、目の前にあるのは悲惨な光景。

畳が血で真っ赤に染まり、たくさんの人が横たわっている。

…殆どが、自分達の仲間。

それらを見ながらも、庄助は奥へ進んだ。


──あいつだ。


新選組局長、近藤勇。


刀を振りおろそうとした瞬間だった。


『兄ちゃん!』


幼い弟の声が聞こえてきたのは。

庄吉の後ろに立っている、一人の女。

浅葱色の羽織を着て、庄吉を見おろしていた。