「……大丈夫ですよ、血なんか吐いちゃいましたけど」

「ううん。ありがとう、沖田さん」

「……」

「沖田さん…?」


沖田は、椿の手を強く握る。


「あの人が”翔太“って人なんですよね?」

「……。うん」


見間違えるはずがなかった。


「未来の人じゃないんですか?」

「分かんない…。どういう事?翔太も、タイムスリップしたの?でも、何で私を斬ろうと…」


──キィィンッ!


「いたっ…」


それ以上考えようとすると、頭に強烈な痛みが走る。考えるのをやめれば、ふっと痛みも収まる。


「と…とにかく、椿さんに何かあったらって思うと…。良かったです」

「…私も。沖田さんが無事で良かった」


頭の痛みに内心首を傾げるが、椿はにっこりと微笑む。

そして、ゆっくりと布団から起き上がった。