「その髪や目の色。…あとは、さっきの浪士を逃がした事についても。長州の仲間だから、逃がしたんですよね?」

「こ、これは生まれつきよ!あの浪士達だって、後が面倒だと思ったから!!!!」

「最近、よくいるんですよ。長州の女間者が。あなたが今歩こうとしていた方向は、島原です。そこで、情報を集めようとしていたんですよね?」

「そ、それもたまたまに決まってるでしょ⁉大体、何で私が島原なんかに…」


男は、私を試すようにじっと見つめる。


「…“たまたまだ”とか、便利な言い訳ですよ。その着物だって、よく遊女が着ているような、高級な物です。君、何か隠してるんじゃないですか?」


ギクッと、体が固まってしまう。


「早く行きますよ。…くれぐれも、嘘はつかないように」


ギュッと、口を引き結ぶ。

…さっき刀が本物だって分かった。

平成の時代に刀なんて──。
有り得ない。

そして、これは夢ではない、という事も。

薄々気付いていた。

新選組について行った所で、何を言えばいいの?

何も言わなければ、当然拷問にかけられる。

未来から来た、と正直に言ったとして、信じてくれるはずもない。


「……ほら、早く」


その人に促され、私はもう歩くしかなかった。