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「つまり、風が強い日に京に火をつけて…。一橋慶喜や松平容保を暗殺して…」


椿は、土方が言った事を頭の中で整理する。

いくら歴史を知っていても、さすがに、相手が誰をどうしようと企んでいたかまでは覚えていなかった。


「中川宮朝彦親王を幽閉して、孝明天皇を長州に連れ去る?」

「あぁ。それを今夜止めるんだが…」


土方の話に、皆真剣な顔で頷く。
屯所内には緊張感が漂っていた。


「会合する場所は、四国屋か池田屋のどちらかだ」

「古高は何も言っていなかったのか?」


枡屋喜右衛門は偽名で、本名は椿の思っていた通り、古高俊太郎だった。

近藤の問いに、土方は頷く。


「いつもは池田屋で会合するが、今夜は四国屋を使うかもしれないらしい」

「いや、裏の裏をかいて池田屋とか…」


“池田屋”
そう言えなかった。

──歴史は、ほんの少しでも変えてはいけない。