天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

フジハ家は、婚姻による皇室との血縁関係が強い。



太政大臣タカハの姉であったカルハは、先皇の弟である恵宮の正室として娶られた。


そのため、恵宮の長女アサハを母とする光宮にとっても、次女ユウハを母にもつ時宮と空宮にとっても、太政大臣は祖母の弟ということになる。



幼い頃から太政大臣はこの三人の姪孫を溺愛しており、度々天宮の奥に顔を出してはクオンたちに贈り物などを欠かさなかった。


今日は、政務のために天皇を訪ねようとやって来たのだが、思いがけず顔を揃えた宮たちに会うことができ、喜びを隠せない様子だ。




クオン達としても、小さい頃から本当の孫のように可愛がってくれたこの母方の祖母弟は非常に慕わしい存在なのだが。


しかし正直なところ、今の三人にとってはいい迷惑である。


「タカハ殿、ご無沙汰しておりました」


とりあえず、最も冷静な判断力のあるクオンが落ち着いて微笑みながら挨拶をした。


ミカゲはいつもの猫被りで、目を伏せ口許に笑みを湛えたまま静かに控えている。


アスカは、下手に会話するとボロが出ると自覚しているのか、黙ってクオンの後ろに控えている。


「ここのところ私めも殿下も、何かとばたばたしておりましたからな」


大臣は大らかな笑い声をあげた。


「殿下、光宮さま。

御婚約の発表が無事に果たされましたこと、誠におめでとうございます」


「ええ、ありがとうございます」


クオンは穏やかな笑みを崩さずに応じた。