天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether




*



「さて、アスカ」



クオンは咳払いをして、アスカの薄茶色の瞳を覗き込む。



「どうして今日は、祝祭に参列しなかったんだ?

あれだけ、父上からも母上からもきつく言われていたはずなのに…」



「そうよ、アスカ。


年に一度の祝祭の日。

その重要性は、あなたもよぉーく分かっているでしょ?」



クオンとミカゲは仲良く肩を並べながら、長椅子の前に正座させたアスカを諫めた。




アスカは膝を握りしめ、肩を落とし、項垂れて、唇を尖らせながらぼそぼそと言う。



「だって……。

だって、今日は嫌だったんだ、どうしても…」



その視線は、クオンとミカゲの並んだ爪先に向けられている。



クオンとミカゲは顔を見合わせた。



ミカゲは怪訝そうに首を傾げ、アスカを見つめる。



「どういうこと?

今日だけはって…」



アスカは視線を上げないまま、呟く。



「それは……,。


えーと、み、ミカゲが……」



「あら、私が、なに?」



「ミカゲが、万能の神様みたいに扱われるの、見たくなかったから……」



しどろもどろの言い訳に、ミカゲが目を丸くする。



「なぁーに、そんなの。

いつものことじゃないの」


「そりゃそうだけど…」


「でしょ?

じゃあ、どうして今日だけ?」



ミカゲが納得できないと示すように眉根を寄せたまま言うと、アスカは堪えかねたように声を荒げる。




「……とにかくっ!


いつものことでもなんでも、いやだったの!!


〜〜〜もういいだろっ!?」