天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

そこへ、皇后のユウハがやって来た。



細い眉を思い切り吊り上げて、三人の前に立ちはだかる。




アスカはミカゲの両肩に手を載せて、細い背中に自分の姿を隠そうとしている。




「……空宮」



皇后は、険しい表情でミカゲの前に立ち、その背後に隠れてこちらを覗いているアスカを睨みつける。



「……あなた、自分がいくつか分かっていますか?


13歳ですよ。

もう成人です、大人ですよ。


いつまでも光宮の後ろに隠れていられるわけがないでしょう。

観念して素直に出て来なさい」




静かな声に怒りを滲ませる皇后に、クオンは苦笑いだ。



「まぁまぁ、母上。そう怒らずに…。

アスカだって自分が悪いのは分かっているでしょうから」



ミカゲも同調する。



「そうですわ、叔母上。

なかなか素直になれないだけですわ」




穏やかに微笑を浮かべながらアスカを庇う二人に、皇后は嘆息した。



「………時宮も光宮も、空宮に甘すぎますよ。


弟なので可愛いのは分かりますが……。


あなたがたがそうやって甘やかすから、こんなに我が儘放題の子になってしまったのです」



「確かにそうかもしれません…」



クオンは情けない表情で答えた。




それでも、のびのびとした自由な性質を生まれ持っていながら皇家という窮屈な環境に生まれてしまったアスカを、可哀想に思う気持ちが拭いきれない。



同じ年代の天の民の子どものように好き勝手に遊ばせてやりたいという思いが先立ってしまうのだ。



「まあ、母上、ここは私にお任せを。

兄として責任を持って、言い聞かせておきますから、ね」




そう言うクオンの気品ある毅然とした表情を見ると、皇后も無下には突き放せず、小さく頷いて朝餉の間を出て行った。