天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

光宮ミカゲと時宮クオンは、この天宮で同じ乳母に育てられた。


幼少の頃から行動を共にしていたため、お互いに、兄妹のように気の置けない存在である。




ミカゲとクオンが共に育てられたのには、複雑な事情があった。



先皇には、二人の皇子がいた。


一人は正宮(まさのみや)、もう一人はその弟皇子、鳴宮(なるのみや)である。



当時の皇太子であった兄皇子の正宮は、若くして妃を娶った。


この妃アサハは、正宮の父皇の弟である恵宮(よしのみや)の皇女で、正宮とは従兄妹どうしである。


由緒正しい血筋の間で結ばれた婚姻関係を、人々は喜んだ。



正宮と妃アサハの年若い夫妻は、すぐに皇女を一人もうけた。


天皇の嫡男である皇太子に御子が誕生したとあって、天国中が喜びに湧いた。



しかし不幸なことに、正宮は生まれつき病弱で、皇女の生後すぐに急な病により夭逝してしまったのである。


正宮の妃アサハも、あまり丈夫な性質ではなく、皇女がまだ乳飲み子であるうちに産後の病で亡くなった。



この、正宮の残した唯一の皇女が、光宮ミカゲであった。