長い廊も終わりに近づく。
天皇の普段の居室である清涼の間の前まで来ると、時宮が面を上げ、父皇に視線を投げかけた。
「……父上。
やはり空宮(そらのみや)は姿を現しませんでしたね」
その言葉に、天皇は落胆の息を吐く。
「…ああ、まぁ予想通りではあるが」
眉間に指を当て、軽く揉み解す。
「全く、あやつには本当に手を焼く……。
今日の祝祭だけは、何としてでも顔を見せるようにと、あれだけ言って聞かせておいたのに……」
そこで、光宮が顔を伏せたまま、くすりと笑い声を上げた。
「ふふ。叔父上さま。
あの空宮が、言って聞かせたくらいで素直に動くと思いまして?」
天皇は思わず唇を歪ませ、両眉を情けなく下げる。
「いや、まあ、確かに期待はしていなかったんだがな…。
しかし、あれも一応、皇子だからなぁ。
閉じ込めておいて、祭事が始まったら有無を言わさず民衆の前に引っ張り出す、というわけにもいかんだろう」
「ええ、そうですわね。
と言うより、無理に連れ出したりしたら、大切な儀式はめちゃくちゃにされてしまっていたでしょうね」
光宮は堪えきれないといった様子で、白い小さな歯を覗かせて笑った。
天皇の普段の居室である清涼の間の前まで来ると、時宮が面を上げ、父皇に視線を投げかけた。
「……父上。
やはり空宮(そらのみや)は姿を現しませんでしたね」
その言葉に、天皇は落胆の息を吐く。
「…ああ、まぁ予想通りではあるが」
眉間に指を当て、軽く揉み解す。
「全く、あやつには本当に手を焼く……。
今日の祝祭だけは、何としてでも顔を見せるようにと、あれだけ言って聞かせておいたのに……」
そこで、光宮が顔を伏せたまま、くすりと笑い声を上げた。
「ふふ。叔父上さま。
あの空宮が、言って聞かせたくらいで素直に動くと思いまして?」
天皇は思わず唇を歪ませ、両眉を情けなく下げる。
「いや、まあ、確かに期待はしていなかったんだがな…。
しかし、あれも一応、皇子だからなぁ。
閉じ込めておいて、祭事が始まったら有無を言わさず民衆の前に引っ張り出す、というわけにもいかんだろう」
「ええ、そうですわね。
と言うより、無理に連れ出したりしたら、大切な儀式はめちゃくちゃにされてしまっていたでしょうね」
光宮は堪えきれないといった様子で、白い小さな歯を覗かせて笑った。



