天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

少年は陶然とした表情で、自我を失ったかのごとく光宮を見つめ続けた。


透き通った白皙の肌と繊細な輪郭を、目蓋に灼きつけるように。




「…もう、大丈夫ですよ。


帰ったら、弟さんの目をじっと見つめて、手を握っておあげなさい。

きちんとお世話もしてあげるのですよ。


きっと、すぐに良くなることでしょう」




少年は双眸から大粒の涙をぽろぽろと流し、こくこくと頷いた。




周りにいた天の民たちも感涙に咽びながら手を叩く。



光宮は気品漂う笑みを頬に浮かべた。



「ああ、光宮さま!!」




少年の隣にいた初老の男性が、堪り兼ねたように叫んだ。



「私にも、畏れ多くも、お聞きして頂きたいことがございます!」



必死の形相で身を乗り出して語る。



「私はもう何年も、長の病を患っています……。

このままでは、体力も限界になり、……いつ、どうなることか……。


どうか、どうかお力を…!!」




光宮は微笑んで、男性の骨張った手を握り、目を閉じる。


祈りを捧げているようだった。


男性もゆっくりと目を閉じ、祈りに身を委ねた。




「あぁ、なんとも不思議な……。

痛みも苦しみも、消えてゆく……。


この病に蝕まれた不浄の身体が、清浄になってゆくのが分かる………」



男性は、涙を流しながらその場にしゃがみ込んだ。



光宮は優しく男性の肩を撫で、姿勢を正した。