天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

「ところで今日は、この祭事の場を借りて、重大な報告がある」



天皇の突然の言葉に、天の民たちは驚いたように周囲と顔を見合わせた。




「時宮(ときのみや)よ。


ーーーここへ参れ」




天皇が玉簾の向こう、奥の間へ声をかけると、一人の年若い皇子(みこ)が現れた。





またもや天庭中を歓声が包む。



「時宮さま!!」


「皇太子殿下!!」


「ああ、久々にお目にかかったけれど、なんと凛々しくおなりになって…」


「本当に、惚れ惚れするような典雅な御姿ですこと」




天皇の嫡子たる皇太子、時宮の登場に、人々の感嘆の声は止まない。




時宮はそのすらりとした長身を際立たせるように背筋を伸ばして、肩口まで伸びた艶々たる黒髪を靡かせながら、光宮の隣に歩み寄った。



その気品漂う流麗な容姿は、光宮とは別の意味で、人々の目を惹きつける。





光宮は、隣に立った時宮の端整な横顔を見上げ、桜色の唇を綻ばせた。



時宮は真っ直ぐに民衆を見つめたままだ。


しかし、その凛々しい横顔を保ったまま、少し長めの前髪の間からちらりと隣の光宮に目を向けた。



二人の視線が絡み合う。


時宮も口元に微かな笑みを滲ませた。




肩を並べた年若い二人の姿に気付くと、天の民たちは次第に静まっていった。