力を入れてみたが、やはり腕は動かなかった。
なんとか指先だけを動かして、胸の中のものを指し示す。
「………お、ね……が、い……」
咽喉から捻り出した、小さな掠れた声。
聞き取ってくれただろうか。
救いの主がこちらに手を伸ばしてきて、血塗れの頬にそっと触れた。
そして、言う。
「………ああ、わかったよ……」
長い指が優しく頬を撫ぜた。
その柔らかな声。
その大きな掌の感触。
なんとか指先だけを動かして、胸の中のものを指し示す。
「………お、ね……が、い……」
咽喉から捻り出した、小さな掠れた声。
聞き取ってくれただろうか。
救いの主がこちらに手を伸ばしてきて、血塗れの頬にそっと触れた。
そして、言う。
「………ああ、わかったよ……」
長い指が優しく頬を撫ぜた。
その柔らかな声。
その大きな掌の感触。



