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祭事が始まった。
儀式が行われるのは、天庭である。
まず初めに、祭司が重々しく祝詞を捧げる。
選ばれた者にしか、祝詞を読み上げる資格は与えられない。
本日の祭司は、現在唯一の有資格者である。
その低いながらもよく通る声は、頭を垂れ手を合わせて祈りを捧げる天の民たちの頭上を霧のように流れていく。
そのまま延々と広がって天宮中に響き渡るようだ。
人々はうっとりと聞き惚れた。
祝詞が終わると、祭殿の奥の玉座にひっそりと座っていた天皇が、静かに立ち上がる。
玉座の前に下げられていた真珠の玉簾がしゃらしゃらと音を立て、その気高い御姿が民衆の前にあらわれると、人々の感嘆の声が祭殿中に広がった。
天皇は天庭の中央に立ち、ゆっくりと人々の顔を見渡しながら、重々しく口を開いた。
「我が敬愛する天の民たちよ。
この祈りの日のため、遠い道のりを物ともせず、よくこの天宮まで参上してくれた。
皆の敬虔な思いを、創世神に代わって予が労うぞ」
天宮に集った天の民たちは、手首に付けた白い鈴をめいめいに鳴らし、天皇の言葉に応えた。



