天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

天の一族は、皆一様に漆黒の髪と濃褐色の瞳を持っている。



不浄を忌み嫌い、身に纏う衣装にさえ、白以外の色は選ばない。


装飾品も、白または銀色のものを好む。

彩度の強い色彩は品位の低いものとされている。



祝祭の日には、皆が白い硝子で作られた鈴の腕輪を手首につけて来るのが慣わしである。





天宮は、天皇の居所というだけではない。


天の一族にとっての神聖な祭殿であり、祈りの聖地である。


全てが真っ白な石で構成され、穢れ一つない純白の宮殿だ。



この天宮に御坐します天皇の一族は、普段はその最上層の奥深くにひっそりと住まい、滅多に天の民たちの目に触れることはない。


天宮の下層に住まいを持つ天貴人(あまつあてびと)達でさえ、選ばれた者しか皇族と直接会見する機会はないという。




そのため、創世神に祈りを捧げるために天皇が民衆の前にその御姿をあらわす祝祭の日は、人々にとって本当に有り難き貴重な一日なのである。





しかし、実は彼らには、天皇の御姿を拝見することの他にも、ーーーいや、それよりももっと重要な期待があった。