翌朝。


ココ・リフォーは泊まっていた宿を出ると、また昨日の食堂へ向かった。




しばらく木陰から見ていると、チキュとセカイと呼ばれていた二人の少年が、入り口から出て来た。



小柄なチキュが、ぼんやりと空を仰ぐセカイの手を引っ張りながら、大通りの方へと急いで行った。




少し経つと、煙草の煙を燻らせながら、長身の男が外へ出て来た。


洗濯物でも干すのだろうか、大きな籠を持っている。



しかし、物干し竿へは向かわない。


籠を下ろして煙を吐き出し、警戒するかのように小屋の周囲を見渡している。





(……気付かれたのだろうか)



ココ・リフォーは太い木の幹に身を寄せ、小屋の前に立つ男の視界から姿を隠すようにした。



(……あまり深入りすべき時でもないか)


そう自らに言い聞かせ、足音を立てないように、その場を去ることにした。