天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

食事はあらかた片付け、父親は酒瓶を三本ほど空にして、完全に出来上がっている。



「おーい、チキュちゃんっ!!

もう一本、頼んだぞー!」



父親が大声で、黒髪の少年に向かって声をかける。



すると、娘らしい少女がすぐに、「チキュ、いらないいらない!」と叫んだ。



「もー父さん、いい加減にしなよ!

そんなにお酒強くもないんだから。


あした、二日酔いでどうなったって知らないよ!」


「なーんでえ、こんなめでてえ日に飲まずにどうする!」


「めでたいって何が!?」



娘が父親を睨みつけると、父親は隣に座っていた少年の肩をぐいっと抱いた。


少年は照れたように顔をうつ向ける。



「めでてえに決まってんじゃねーか!

お前の将来のお婿さんと一緒に酒飲めるなんてよお。


お父ちゃん感極まっちゃって。

酒の味だか涙の味だか分かんねえよ」



「だーかーら、違うって!

イジーは、ただチキュに呼ばれたから連れて来ただけ!」



少女は顔を真っ赤にして怒鳴っていた。