天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

ココ・リフォーは、手近な鮮魚店に足を踏み入れ、声をかけた。



「すみません、ちょっとお伺いしたいことがあるのですが」


「へい、なんだい?」



店主は、珍客に驚いたように目を剥いた。



「なんだい、兄さん?

ずいぶん珍しい格好してるな」




頭から足首までを覆い隠す重たげな外套を纏ったココ・リフォーの全身を、店主が上から下までじろじろ見た。




「人探しの旅をしていましてね。

ずいぶん遠方から来たものですから」



「そうかい。ご苦労なこって。

で、聞きたいことってのは、その探してる人のことかい」



ココ・リフォーが頷く。



「ええ。昔馴染みなんですが。

ちょっと連絡が途絶えてしまって……いま、どこにいるのか分からないんですよ。


毛髪のない男と、子ども二人の、三人連れなんですが……。

この辺りで見かけませんか」



「おおっ!?

そりゃ、もしかしてウチューたちのことか?」



「ああ……そうです、そうです。


よかった、ご存知なんですね?

いま、どこにいるか分かりますか?」



「ああ、この大通りを抜けた町外れで食堂をやってるよ。

そろそろ開店のころだろうから、今なら店にいると思うが」