天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

野菜店の主人は、葉野菜を洗いつつ大笑いしながら、それらのやりとりを見ている。



「相変わらずやかましい一家だなあ、おい!

そうこうしてるうちに味見の準備ができちまったよ。

さ、食べてみな!」


「ご主人、いつもすみません。

チキュのやつ食い意地ばっかり張ってるもんで…」



ウチューが丁重に頭を下げる。



主人は「なーに、気にすんな、かまやしねーって」と笑いながら、ガラス皿を差し出した。




朝摘みの新鮮な野菜を、冷たい湧き水で軽く洗い、ひとつまみの塩をかけただけの簡単なサラダだが、その美味しさは言うまでもない。


「うーん、冷たいっ! うまいっ!

シャキシャキしてて味も濃いな!

やっぱおっちゃんの作る野菜は最高だぁー!!」



口に含んだ瞬間にチキュの顔に浮かんだ満面の笑みを見て、主人も相好を思い切り崩す。



「チキュちゃん、相変わらずほんとにいい笑顔するなあ。

汗水たらして野菜そだててる甲斐があるってもんだよ」



ウチューも目を細めて優しげな顔でチキュを見る。



「さっ、セカイちゃんも食べな。

どうだい?」



主人に薦められ、セカイはサラダをむしゃ、と頬張った。