天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

しばらく考え込んでいたセカイは、小首を傾げる。



「…でも、チキュの更生、大変そう。

僕には荷が重い、ような気が……」



それを聞いて、ウチューも賛同した。



「ああ…そうだな。

想像を絶するほどに、常軌を逸した阿呆だもんな」


「人間として最低限の記憶力も、ないと思う…」



ウチューが大袈裟に頭を抱える仕草をして、セカイも目を伏せて悲しそうにチキュを見つめながら呟いた。



ウチューはさらに続ける。



「そして、奴には知識欲というものも欠けている!」


「チキュにあるのは食欲と食欲と食欲だけだよ……。

睡眠欲にさえ勝るんだから」


「ただの野生動物だもんなあ」


「野生動物のほうがまだ上品だと思う」


「そうだな、野生動物に失礼だったな。

奴らはちゃんと社会性があるもんなぁ」




言いたい放題にチキュを罵倒する二人を傍目に、当の本人は両耳を塞いで「うーん、かぐわしい!」などと叫びつつ、焼き立てパンの香りを楽しんでいた。