天と地の叙事詩Ⅰ Epic of the Ether

男は不機嫌そうに眉間に皺を刻み、「は?」と言ってセカイを見下ろした。







セカイは揺るがぬ双眸で男を責める。





感情の読み取れない深い紫色に、男は微かな畏怖を抱いた。









そんな心の内まで透かし見るように、瞬き一つしないセカイが、静かに口を切る。






「………だめだよ」





耳を澄まさなければ聞き取れないほど小さな声だった。





だが、その囁きはなぜか、その場にいた全員の鼓膜にしっとりと貼りつくように、はっきりと届いた。








「…………それだけは、だめ。


チキュを僕たちから奪うのだけは………。



ーーーそれだけは、許せない………」







セカイの右手は、まだ、剣を強く握り締めたままだった。




拳が白く色を失うほどに、強く、強く。